ステロイド点眼の強さを知りたい |
Q 私は薬剤師をしております。色々と調べてみたのですが、分からず、眼科のDrが直接答えて下さるこのサイトにたどり着きましたので、ぜひ教えて頂きたい事がありまして、メールを送らせていただきます。 ステロイドの点眼薬の強さのランクについて、教えていただけますでしょうか?色々と調べてみたのですが、分かりませんでした。メーカーに聞いてみたのですが、点眼は塗り薬と違って、個人差や条件その他もろもろの違いがあり、Drの経験上、リンデロンがフルメトロンより強いと認識してるDrが多いが、比較したデータがないとの返事でした。 濃度も、もちろんあるでしょうが、リンデロン>フルメトロンだとすると、サンテゾーンやオルガドロンは比較するとどこに入るのでしょうか?デキサメタゾンがよく分からないのですが、外用では、デキサメタゾンはmediumですが、プロピオン酸or吉草酸デキサメタゾンはstrongですよね。サンテゾーン、ビジュアリンはメタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウムで、オルガドロンはリン酸デキサメタゾンナトリウムですから、よく分からなくなっています。 先生はどういう使い分けをされているのか、教えて頂けますでしょうか?患者さんから、この薬はこれより強いのか、弱いのか聞かれて、不勉強を痛感しています。どうか河野先生の見解を教えていただきたく、お願いいたします。 A 「患者さんから、この薬はこれより強いのか、弱いのか聞かれて、不勉強を痛感しています」ということは、患者さんに対して「強いです」とか「弱いです」とか答えたいわけですね。それでは、ステロイドの強い弱いとは何でしょう。即効性でしょうか。持続性でしょうか。それとも副作用の強さでしょうか。Aの病気に対する強さでしょうか。Bの病気に対する強さでしょうか。Cの副作用の発生率でしょうか。Dの副作用の重症度でしょうか。患者さんが質問されたとき、それがどの項目についての質問か判断できるでしょうか。或いは、どういう意図を持って質問しているのか判るでしょうか。 多くの患者さんにとっては、医師の説明と、薬剤師の説明は同等に扱われます。実際にその患者さんの眼を診察し眼疾患についての専門知識を持った医師と、診察もせず眼の専門知識も持たない薬剤師が同等なのです。いや、場合によっては、あとから説明する薬剤師の方を信用したりします。患者さんは薬局で薬の事を聞いたのですからそれも当然でしょう。そして今までの経験では、医師と薬剤師の説明が食い違う場合、患者さんは医師に対して不信感を抱き、その結果、適切な治療の妨げになります。これは多くの医師が感じている事だと思います。 ご近所の眼科で診察を受け、あなたの薬局に購入に来る患者さんは、その眼科医から説明を受けているはずです。或いは後日説明を受けるはずです。そのときに、あなたの説明と眼科医の説明が違ったら大問題ですので、当方の見解をここに載せることはしません。眼科医全てが同じ基準を持っている訳でもありません。また、基準があったとしても、患者さん一人ひとりの病状に対してその都度考える事ですので、無いも同然です。是非、その眼科医の見解をお聞きになり、患者さんに対して薬局で説明できる内容と範囲をご確認ください。 特にステロイドに対しては、異常に神経質になっている患者さんも存在します。最悪の場合、医事紛争にもなりかねません。もし質問があった場合には、薬の説明は一般論にとどめ、「実際に診察した医師でないとわからないので、診察時に聞いてください」と逃げてください。お願いします。切なるお願いです。 追加です。「強い薬ですよ」と説明して、それで患者さんが怖くなって点眼をやめたために、炎症が長引いて視力が(不可逆的に)低下してしまった場合、あなたは責任を取れますか。こんな恐ろしい事は、医師に任せた方が良いと思いませんか。調剤薬局には毎日お世話になっており、薬剤師さんにも大変感謝しています。決して敵意を持っているのではありません。本当に患者さんのためになる方法とは何かを考えると、余計な説明はしていただかないというのが最善なのです。どうか、ご理解ください。 次のページもご覧ください。 「調剤薬局で眼圧を聞かれるのですが」 「しっかりしてよ薬剤師さん」 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2008-12-10 15:08
| くすり
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