散瞳と縮瞳 |
Q 医療相談ではないのですがいいでしょうか? 眼科に勤務しています。散瞳薬にての散瞳不良の原因として、虹彩炎による癒着、糖尿病などの他にどんな疾患があるか調べています。もしよろしければおしえて欲しいです。 よろしくお願いいたします。 A 難しいご質問です。普段こんな事はあまり考えずに診療しています。不十分かもしれませんが、わかる範囲でお答えします。 虹彩には2種類の筋肉があり、それぞれ別の神経が作用します。瞳孔をリング状に取り囲む「瞳孔括約筋」は、副交感神経の刺激によって収縮し、瞳孔が小さくなります。これを縮瞳といいます。一方、瞳孔の周りに放射状に広がる「瞳孔散大筋」は、交感神経の刺激によって収縮し、虹彩が周りから引っ張られるように作用し、瞳孔は広がります。これを散瞳といいます。 したがって散瞳薬には、交感神経を刺激するか副交感神経を遮断する作用があります。逆に散瞳不良(または縮瞳)の原因になるのは、副交感神経の刺激があるか交感神経が遮断されているかのどちらかが考えられます。ややこしいですね。 具体的には、ホルネル(ホルナー)症候群というのがあります。交感神経がやられる病気の一群で、縮瞳や眼瞼下垂などが起こります。頭痛の一種で群発頭痛というのがありますが、これも縮瞳が起こります。また、事件性があるかもしれないものに農薬中毒があります。もちろん、緑内障の治療薬のピロカルピンを点眼している人は、散瞳しにくいですね。 病気ではありませんが老人性締瞳といわれる状態もあります。散瞳しなければ眼底がよく見えませんが、点眼してもなかなか散瞳しません。年齢とともに、瞳孔散大筋の力が弱くなり、相対的に括約筋優位の状態になったものです。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2007-12-18 23:31
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