視力1.5は見えすぎ?目に悪い? |
Q 20歳の大学生なのですが、2年前から2週間タイプの使い捨てコンタクトを使っています。定期検査のたびに視力を測りますが、いつも1.5あります。よく見えて快適なのですが、最近友人からおかしなことを聞いて不安になり、いろいろ調べてここにたどり着きました。友人によると視力1.5は見えすぎで、網膜はく離になる場合がある。1.0ぐらいに落としてコンタクトを作り直せと言います。1ヶ月前に眼科で見てもらったときは、レンズの度数はちょうど良いと言われました。 A このメールを読んで、こんな事を思い出しました。 何年か前、コンタクトレンズの定期検査に来院した20才台の患者さんが、視力を測ったあとで、すごい剣幕で怒り出しました。 「今まで満足して使っていたが、今日視力を測ったら1.2もある。この前友達から0.9ぐらいにあわせなければ、きつすぎて眼が悪くなると聞いた。今まで自分は騙されていた。こんな眼科には二度と来ないからレンズを交換してくれ」 今まで、「きつい」というような事は一言も言わなかった人が、「ゆるめ」に処方されたコンタクトを入れての発言です。眼科医以外の方にとっては、視力の目安は裸眼視力しかありません。だからこそ眼科医の説明を聞いて欲しいのですが、友人の言うことの方が正しいと思い込んでいるようで、聞く耳を持ちません。ご希望通り、「かなりゆるめ」のコンタクトに交換したのですが、その後どうなったことやら・・・ 近視の方に対するメガネやコンタクトの理想的な処方とはどんなものでしょう。 それは無駄なく遠くまでピントが合う処方です。 人間の目はある距離の範囲にピントが合います。例えば、目の前10センチから20センチ先までピントの合う人がいるとします。この20センチの部分をレンズを使って遠くにもって行きます。すると近くは、レンズのせいで20センチに離れます。つまり、10センチから20センチの間にピントの合う目が、レンズを使う事で、20センチから無限遠にピントの合う目になったのです。これを完全矯正といい、きつくもないし、ゆるくもありません。 完全矯正で処方して本来は問題ないのですが、近視の場合「きつい」「見えすぎる」と感じる人が多くいます。今までどうやっても遠くにピントの合わなかった目ですので、無理もない事なのです。そういう場合は少し「ゆるめ」ます。「遠くまで」を「2メートル先まで」にする場合もあれば「1メートル先まで」にする場合もあります。見え方を確かめながら本人の主観を重視して決定します。決して裸眼視力の数値を目標にしません。裸眼視力はピントの合っていない5メートルで測定しますので、絶対的なものではありません。4メートル先までピントが合うのに視力1.0の人もあれば、1メートル先までしかピントが合わないのに1.5出る人もいます。周囲の明るさによってもかなり変化します。 ですから「視力1.0になるようにレンズを合わせてくれ」と言うのは、ナンセンス(?)です。満足できる見え方が、たまたま0.9だったり、1.5だったりするのです。視力1.5だと網膜剥離になりやすいというような事は、決してありません。もしそれが少々「きつい」処方だとしても同様です。ご安心ください。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2006-06-29 11:50
| 視力・斜視
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