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河野眼科ホームページに寄せられた目に関する質問や相談にお答えするページです。なお、コメントを付けることはできません。河野眼科ホームページからお願いします。
by kounoganka
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低濃度アトロピン点眼の裏事情


小学低学年の子供が学校の検診で近視を指摘され、眼科を受診したところ、「左眼0.2、右眼0.3、眼軸長24.5mm、乱視もあり、このままだと緑内障や網膜剥離になる可能性もある。」といわれました。そして、「近視の進行を少しでも抑制する目的で、低濃度アトロピン点眼(マイオピン)を使いましょう。」と言われました。しかし、「マイオピンは保険適応外なので、アトロピン1%点眼液をミドリンM点眼液で100倍希釈した点眼液を渡すので、毎日就寝前に1滴を点眼するように。」と言われました。

いろいろと調べた範囲では、「アトロピン1%点眼液をミドリンM点眼液で100倍希釈した点眼液」を治療に用いるという情報はありませんでした。低濃度アトロピン点眼は河野先生も近視抑制の治療として使用されているようで、ある程度の評価をされていると思います。一方、ミドリンM点眼液に関して、河野先生は以前のQ&Aで、「ミドリンにも、強くはないのですがアトロピンと同じムスカリン受容体をブロックする作用がありますので、それを続けることで近視の進行を少しは予防できると考えても間違いではありません。」と回答されております。

それで、近視の進行を抑制する目的で「アトロピン1%点眼液をミドリンM点眼液で100倍希釈した点眼液」を使用することに関して、河野先生にその効果と副作用に関してご意見を賜れば幸いです。


ミドリンM点眼液とアトロピン0.01%点眼液を同時に点眼するという事ですね。それはそれでいいんじゃないでしょうか。しかし、仮性近視はミドリンで早期に治癒しますが、アトロピンを続けるべき2年間、僅かな効果しかないミドリンを同時に続けるのは、無駄が多いような気がします。但し、同時に点眼して害があるわけではありませんし、副作用はミドリンの物だけです。アトロピンで副作用が増強するわけではありません。

子供達の近視の進行を抑えたいと願う眼科医は、皆さんその方法に悩んでいるのではないでしょうか。コンタクトで角膜を押さえつけるような恐ろしい方法もありますが、ここでは、確実な効果を期待できる低濃度(0.01%)アトロピン点眼について、その裏事情を公開します。

製品としての低濃度アトロピン点眼は、シンガポールからの輸入品であるマイオピンしか存在しません。価格は知りませんが、それを輸入業者から仕入れて販売している眼科が殆どです。自由診療で販売することになります。初診時の診察と点眼1か月分で5000円、3か月ごとの再診と点眼で10000円とか、料金は自由に決められます。診療側からすると、保険の縛りがありませんので、診療方法を誰からも咎められることなく、自由に行うことが出来ます。点眼の宣伝、医療機関の紹介も業者がやってくれます。手間もかからず結構な収益になるようです。

但し一つ大きな問題があって、保険診療と自由診療を同時に行うことが出来ません。例えばアレルギー性結膜炎があって、その診療のついでにマイオピンを販売することが出来ないのです。患者さんが一旦眼科の玄関を出て、再び来院してからでないと自由診療をすることが出来ません。このルールを、マイオピンを販売する全ての眼科が誠実に守っているかどうかは知りませんが、当院ではこのルールがあるために低濃度アトロピン点眼の処方を躊躇していました。高額であるだけでなく、患者さんにこんな面倒なことを強いるのは忍びないです。

別の方法がありました。アトロピンを無料で提供することが出来れば保険診療が可能になります。幸い、眼科処方用の1%アトロピン点眼液は廉価です。これを100倍に薄めて無料で提供すればいいのです。

方法その1 生理食塩水500mlボトルに1%アトロピン点眼液を1瓶5ml全て入れます。正確には生食495mlです。滅菌済み点眼瓶に無菌環境で小分けして、密封すれば出来上がり。容器代を負担していただいて提供できると思います。ただし、完全無菌状態で同量ずつ小分けするのは非常に厄介で、労力と工夫が必要です。防腐剤の入っていない点眼が同時に100~200本も出来ますので、保管にも注意が必要です。

方法その2 ソフトサンティアなどの既製の安価な点眼液に、マイクロシリンジと注射針を使ってアトロピンを正確に注入します。1本ずつ調合するのは細かい作業ですので非常に手間がかかります。当院では、クリーンベンチやバキュームシーラーを新たに導入して、完全無菌状態にして作業しており、品質には自信を持っております。ソフトサンティアの価格のままでの販売です。

方法その3 ミドリンなどの眼科で保険診療で処方される点眼に混入する。院内処方なら可能な方法です。完全無料です。方法その2と同様に手間はかかりますが、防腐剤入りですので点眼は長持ちし作成本数は少なくて済みます。ミドリンの場合は仮性近視という診断で処方されるわけですので、その診断が無ければ処方できません。但し、仮性近視には効果があっても、副作用が強く近視進行抑制作用の小さいミドリンを使い続けるのも、無駄が多いと考えられます。最初に書いた通りです。

他にも方法はありますが省略します。保険診療で低濃度アトロピン点眼を提供している眼科は、環境を整え、機材を揃え、時間と手間をかけて、利益を考えずにやっている良心的な眼科だと考えて間違いないと思います。

★ご質問は河野眼科ホームページから

by kounoganka | 2018-06-03 13:27 | くすり
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