点眼は一生続くのか |
Q 去年の年末に、眼圧が高いと診断されました。眼底写真も撮り、右目に少しの凹みがあるかも……ということで、「緑内障」との診断がおりました。 それから1年間二種類の点眼薬(チモレートとラタノプロスト)をずっと使って、眼圧も安定しています。眼圧は毎回測っていますが、他の検査はしていません。 質問は、視野検査なしに「緑内障」と診断されることは普通なのでしょうか?という事です。あと、万が一、緑内障ではなく高眼圧症だった場合でも、点眼は一生続くのでしょうか?(1度点眼治療を始めてしまうと、もう止められないと聞いたので) A 視野検査なしに「緑内障」と診断することは普通です。というか、状況によって十分有り得ることです。 視神経乳頭陥凹が明らかで、ノッチと呼ばれる「くびれ」があり、その先に網膜神経線維束欠損が明らかに存在する場合は、それだけで可能です。眼底写真1枚で診断がつく場合もあります。但し現在では、OCTによる確認は不可欠です。視野の裏付けが取れればさらに確実ですが、初期の場合、自動視野計では正常判定となる場合も多いです。 一方、診断するだけなら眼圧測定は不要です。眼圧測定は、基準眼圧の設定、目標眼圧の設定、そして重要な点眼の効果判定などのために必要なのです。ですから、できるだけ正確な眼圧計が必要で、医師が自ら測定するゴールドマンアプラネーションか、それに類するもので測定する必要があるのです。空気式のノンコンで「高い」と言われても「高いのかもしれない」としか判断できないのです。(あなたの測定がノンコンで行われたかどうかは知りませんが) 視野検査は自覚検査ですので、異常が出た場合にそれが本当に異常なのかどうかは分かりません。体調などの影響を受け、悪く出る事があります。OCTなどによる他覚検査の結果と矛盾がないことを確かめなければ、診断を下せません。矛盾する場合はその原因を確かめる必要があります。 「点眼治療を始めてしまうと、もう止められない」というような恐ろしいことを言う人もいますね。「続けている点眼をやめると、初めから点眼をしないでおくより悪い結果になる」という風に読み取れるのですが、そんなことは決してありません。いつでもやめられます。やめることで点眼中より眼圧は上昇しますが、点眼前より上昇するわけではありません。当院でも実際に何人もの緑内障点眼を中止していますよ。 高眼圧症というのは、一般的な正常といわれる眼圧より高い眼圧が続き、緑内障性の変化の無い眼を言います。緑内障ではない、つまり、視神経が眼圧の影響を受けていませんので、必ずしも眼圧を下げる必要はないのです。今後影響を受けることが予測できる場合に点眼を使用します。 あなたの場合「右目に少しの凹みがあるかも……」だけで診断されたようですが、その言葉の通りだとすると、当方なら経過観察です。断じて点眼開始にはなりません。ということですので、別の眼科を受診することをお勧めします。もちろん、時間とお金に余裕があり点眼による副作用を厭わないなら、現在の眼科通院を続けるのも「あり」でしょうし、その方がもしかしたら少しは安全かもしれません。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2017-10-19 12:14
| 緑内障
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