日本と海外で緑内障治療 |
Q 10年前から乳頭陥没・要経過観察でしたが、2年前から左右共に視野欠損が認められ、点眼治療を始めました。正常眼圧緑内障、開放隅角、とのことです。 1)現在○○在住です。当地での眼圧の平均値はいつも12前後ですが、ここ数日、眼が重く、時として痛みもあり、当地の眼科を受診したところ、両眼とも16とのことでした。時々14前後まで上がることはあっても16になったことは今までにありませんでした。いつも12前後の眼圧が16に上がった時、患者本人には自覚症状があるのでしょうか。近視が強くいつも眼精疲労があるため、今回と似たような症状はよくあります。このような症状が出るたびに眼科を受診するべきでしょうか。 2)開放隅角と言われたと書きましたが、開放隅角かどうかを検査するのには、特別な検査があるのでしょうか。特別な検査をしたかどうかは、覚えている限りではないのですが。 3)○○の眼科と日本の眼科と両方通っています。日本の先生からは、緑内障に関しては、核となる治療の場所を決めるようにとのアドバイスを受け、現在は日本の先生の治療に沿っていますが、今回のように、急に症状が出たときは、どうしても当地の先生にうかがうことになります。当地での眼圧は、2年前こそ12前後でしたが、少しづつ上がっているようで、今度の一件の前には14近くになったこともありました。以前から度々、点眼薬を変えるよう言われています。 ○○と日本では、なぜか眼圧の平均値が違い、○○では平均12前後ですが、日本では平均14前後です。日本の先生に伺っても、日本では平均14前後なので、変える必要はないとのことです。お2人の先生から別の治療方針をうかがうことはとてもストレスになります。 そこでお伺いしたいのは、あと10年間は○○で治療をすることにし、帰国後、日本の病院に変えることに何かデメリットあるでしょうか。使用する点眼薬も違うとおもうので、10年後に日本へ帰国したときに、日本での治療方針が立ち難いという事はないですか?又、日本の先生は、他病院での治療の経過をあまり参照にされないと伺ったことがありますが、10年後に進行しているであろう状態の緑内障で帰国して、スムースに治療が続くと思われますか。それとも、10年後の日本帰国を視野に入れ、今見ていただいている日本の先生の治療を優先するべきでしょうか。 A 1.「眼が重く、時として痛み」のある状態は何故起こったか説明はありましたか。どんな治療をしたのでしょうか。眼圧が上がったからだと言われたのでしょうか。眼精疲労とかドライアイではないのでしょうか。「症状が出るたびに眼科を受診するべき」かどうかは、こういう情報が無ければ判断できません。普通、眼圧が少々上がっても自覚症状は出ませんし、正常眼圧緑内障では眼圧が急に上がったり痛くなったりすることは無いと考えてください。 2.特別な検査無しでも開放隅角ということは分かります。詳しく調べる方法もありますが不要でしょう。 3.眼圧の数値は、厳密には、同じ眼科医が同じ眼圧計で測定しない限り比較できないと考えてください。 緑内障では、絶対大丈夫という眼圧はありません。おそらく大丈夫だろうと考えられる数値を目標に点眼薬を使い眼圧を下げます。もしそれで進行が見られたらさらに低い眼圧を目指します。眼圧が下がらなかったら点眼を変更します。こういうことの繰り返しです。それがちゃんとできる眼科なら何処でも同じではないでしょうか。日本の眼科に定期的に通院できるのであれば、それを優先させれば良いと思いますが、わざわざそれだけのために帰国するのなら、海外でも良いと思います。 2つの眼科の治療方針に大きな違いはありません。一方は眼圧に変化が無いから点眼を変える必要が無い。もう一方は上昇しているから変更すべき。お互いに自分以外を信用していないだけですが、責任ある医師としては当然のことでしょう。ところで眼科同士で診療情報のやり取りはしていないのでしょうか。それがなされていれば、不一致は解消されると思うのですが、言葉の壁があるのでしょうか。 もし、事情があって帰国できなくなり10年間海外で治療を続けたとしても、帰国後の治療に問題はありません。例え悪化していても方法はありますし、点眼の変更をすることも制限はありません。日本への紹介状が無くても最善の治療は出来ます。 最後に現実的な提案です。○○で診察を受けるとき、「緑内障の点眼の変更はするなと強く指示されている」と言うだけで済むように思います。ついでに「指示を守れないなら帰国したとき再診するなと言われた」と追加してもいいでしょう。○○の眼科医も、緑内障に対して責任を持つ必要が無くなり、気が楽になります。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2012-12-12 18:16
| 緑内障
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