緑内障の考え方 |
Q 飛蚊症の症状があったたため、自宅近くの眼科クリニックを受診したところ、右が初期、左が中期の正常眼圧緑内障と診断されました。治療開始前の眼圧は、両眼とも10.5~13.0でした。 トラバンズ、コソプトを点眼していましたが、視野進行(右マイナス1、左マイナス2.7)が認められたため、○○大学病院での精密検査を紹介され、強度の近視による緑内障との診断で、上記の点眼薬にアイファガンが追加となりました。 その後、掛かりつけの眼科クリニックに戻り、治療を続けていますが、クリニックの男性医師は、「視野進行は止まるだろう」とのことですが、同じクリニックの女性医師は、「もう少し様子を見ないとなんともいえない」とおっしゃっています。視野は3ヶ月に1回の検査で、2年以上測っています。 現在、眼圧は両眼とも10.5~11.5と上がらず下がらずで推移しています。強度の近視が要因であれば、視野進行はないと思うのですが、どちらの医師の話が正しい判断なのでしょうか。大学病院では、「近視は進行することはあるだろう」としか言われていません。 また、眼圧が原因ではないのに、このまま点眼薬を続ける必要があるのでしょうか。どうかよろしくご教示ください。 A 難しい問題ですが、点眼を続ける必要があります。緑内障というのは、眼圧を下げれば進行が止まる、または遅くなる病気なのです。いかなる原因であっても、眼圧を下げることが治療の第一選択です。ですからその緑内障が「強度の近視が要因であれば、視野進行はない」というのは間違いです。 もし「強度近視の変化だけで緑内障の変化はない」という診断であれば、眼圧を下げる必要はありません。それを確認するために大学病院へ紹介されたんじゃないでしょうか。その結果、緑内障だと確認できたために点眼の追加もされたのでしょう。 一般的に、正常眼圧緑内障というのは原因不明の病気なのですが、ある程度、原因が推測されているものがあります。その中で、強度近視によるものは、眼軸の延長によって網膜が薄くなることに加えて、視神経乳頭部に曲げようとする力が加わって、つまり物理的な要因で循環不全を起こし視神経が変化を起こすと考えられます。電源プラグとコードの境目を強く曲げると断線しやすくなるのと同じと考えられます。原因がそれであっても、眼圧を下げることで、内部からの圧力による機械的損傷を抑えることで進行が抑制されるなら、緑内障として降圧することは理にかなっています。 少し発想の転換をして、下のように考えると判りやすいかもしれません。あくまで「考え方」ですので数値はあてになりません。 緑内障は色んな要因で視神経に損傷を起こす病気です。その代表的な要因が眼圧です。眼圧が高いほど視神経は損傷します。その影響力を数値(ここではAとします)で表すと眼圧7mmHgならA=1、10mmHgならA=2、15mmHgならA=3、20mmHgならA=5、30mmHgならA=10、50mmHgならA=20、というように考えてください。 年齢も大きな要因です。10歳ならB=0、20歳ならB=1、40歳ならB=2、50歳ならB=3、60歳ならB=4、70歳ならB=5、とでも思ってください。 実は血圧も関連しているのです。収縮期血圧が100ならC=2.5、120ならC=1.0、130ならC=0.5、140ならC=0、というように血圧が低いほど緑内障は起こりやすいと言われています。 遺伝も影響大です。血縁に全く緑内障が無ければD=0、父方のみに複数の緑内障があればD=2、両親とも緑内障であればD=7ということにしてみましょうか。 目の運動は実は緑内障には悪影響があります。目を上下左右に大きく動かすと、視神経と眼球の接続部分が横に引っ張られ損傷を起こすことがあると考えられます。そのような運動をしない人はE=0、する人はE=1、常習する人はE=2。 化学調味料のグルタミン酸ナトリウムも悪影響があるとする説があります。摂取量の蓄積によってF=0~4ぐらいまであると思ってください。 問題の近視です。正視の人はG=0、-3DでG=1、-5DでG=2、-10DでG=4、-20DでG=7、とでも考えましょう。実際には眼軸長で決まるのですが、わかりやすいように屈折度数です。 その他の未知の要因をHとして0~5ぐらいと考えます。 A+B+C+D+E+F+G+H が10を超えるようなら緑内障になる、または進行するでしょう。 という風に考えれば、要因の一つとしての眼圧を下げることに意味があると納得できると思います。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2017-03-16 11:45
| 緑内障
|
<< コンタクトの上からメガネ | 太陽凝視の本当の問題点 >> |