黄斑と視神経乳頭、網膜血管を見る |
Q 薄暗い部屋で(エアコンが作動している時に付く緑色のわずかな光のみ)目をぎゅっとつぶり開けた時に視界の中央に黒い物がみえます。片目ずつつぶってみましたがやはり黒い物が中央に見えました。これは何でしょうか? 後、明るい部屋でテレビを見てから薄暗い部屋へ行くと目の隅に影の様なものが見える時があります。目で影を追ってもいなくなってしまい、そのうち気にならなくなってしまいます。これは何でしょうか?お忙しい所すみませんが、ご回答宜しくお願い致します。 A 素晴らしい。よく気が付きましたね。その現象は、網膜の細胞分布の違いにより発生する一種の残像です。「才能あり」ですね。 このブログの左上の眼底写真を見てください。これは若い人の右眼の眼底写真です。位置関係は、相手の右眼の眼底を透視して、そのままスケッチした状態と思ってください。右の丸い部分から血管が出て広がっています。それが脳につながった視神経の先端、視神経乳頭です。左やや下にある、少し暗い色でコの字型の反射で囲まれている部分が黄斑です。黄斑は見つめた部分が写る場所で、視野の中心です。 当院のOCTによる黄斑と視神経乳頭を通る断面です。真ん中の凹みと周囲の盛り上がりが黄斑です。黄斑の部分は、周囲と違って、網膜にある何層もの細胞層が少なくなっています。細かいものを見るために、そのための細胞ばかりがぎっしり詰まっています。それによって、視野中央と周辺で、同じ光に対しても反応が違ってくるのです。 薄暗い部屋で瞬きをすると見えるのは黄斑そのものなのです。天井には豆電球等の発光物がない方が良く見えます。交互に瞬きをするとより確認しやすくなり、左右で黄斑の形が微妙に違うこともわかるでしょう。また、右眼で見たときは中央の黄斑より右15度のやや下方、左目で見たときは左15度やや下方に丸く黒い部分があることに気が付くかもしれません。これが盲点で、視神経乳頭の部分です。黄斑より内側15度上方にある視神経乳頭は、視野中心より外側15度下方に盲点を作ります。見えれば「特待生」です。 眠りに落ちる直前ぐらいが一番よく確認できるのですが、朝、覚醒したとき、部屋が暗ければ両目を開ける前に交互に瞬きをしてみてください。条件によっては、盲点の部分から伸びる網膜血管を見ることが出来ます。これが出来れば『名人』級です。私は数回成功しています。 後半は何かの残像でしょう。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2017-01-28 13:21
| 何かが見える
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