乱視と感じるような症状 |
Q 強度近視のため、普段より2カ月に一度の頻度で、眼底検査を受けています。今年の1月ごろに受けた眼底検査の翌日、なんか右目が見にくいなあ、と思いましたが、眼底検査の目薬は、数日その効果が続く場合もあるということで、そのままにしており、その後も2カ月ごとに検査を受けておりました。 しかしながら、右目の様子が一向に変化なく、8月ごろに、いつもの眼科の先生に「1月の検査以降、乱視のような物が二重に見える症状が治まりません。」と話したところ、「薬が効きすぎたかな」とおっしゃられ、いつもの眼底検査に加えて、眼球に直接検査用のレンズをくっつけて中を見る検査もおこなってもらいました。結果は、「しばらく様子をみましょう、特段の変化は見られないので」とのことでした。さらに聞きましたが、「まあ、これは言ってもしょうがないんだけど、やっぱり近視が強いからね。」とのことでした。 また、いつもメガネを作っているところでも、この乱視の症状が出た後で訪れたところ「近視の度数は変わっていないですね。乱視の度をいれてもあまり変化ないということは、ちょっと矯正しにくいのか?」ということでした。 もともと右目は左に比べて乱視が強く、それでも今まではメガネでほとんど矯正できていたのです・・・、かなりつらく、乱視が矯正されている左目で主にみているような感じです。見え方は、本来の画像に、水平方向にずれて薄い画僧が見える、倒乱視的な感じです。遠くも近くも二重に見えます。 質問ですが、「乱視はほおっておくと、この年齢からでも斜視になるのか?」、「メガネ等できちんと矯正しないと、さらにひどくなるのか?」、「乱視の原因には、角膜や水晶体の他にも網膜の新たな疾患等でも症状がでてくるのか?」といったことです。 A 前提が間違っています。「乱視」でなく「乱視と感じるような症状」です。 >「乱視はほおっておくと、この年齢からでも斜視になるのか?」 なりません。斜視は眼球を動かす筋肉の問題で、乱視とも今回の症状とも無関係です。 >「メガネ等できちんと矯正しないと、さらにひどくなるのか?」 メガネは無関係です。メガネには病気を進行させたり、眼球を変形させるような作用はありません。 >「乱視の原因には、角膜や水晶体の他にも網膜の新たな疾患等でも症状がでてくるのか?」 乱視様の症状なら網膜の疾患でも起こるかもしれませんが、ちゃんと検査を受けていますのでおそらく無関係でしょう。 「乱視」にとらわれていては答は出ません。「薬が効きすぎたかな」という眼科医の言葉からすると、瞳孔がやや大きくなっているのではないでしょうか。その場合、水晶体の歪みとか濁りの影響が現れます。 人間の水晶体はカメラに例えればレンズに当たります。しかし、それほど精度の高い物ではないために、水晶体の中心付近を通った光は正しい像を結ぶのに、周辺部を通った光は歪んだり滲んだりします。精密に作られた光学レンズでも、何枚も組み合わせなければ歪みや滲みを完全に取り除くことは出来ません。これを収差といいます。 水晶体は発生のメカニズムから3つ或いは6つに分かれており、光点を見ると「*」のような光条が見えます。また、加齢に伴って部分的に硬くなってきて、屈折率も変わってきます。屈折率の違う部分を通った光は網膜上にずれて投影され、二重に見えることになります。また、水晶体の濁りである白内障も周辺から発生してきます。 瞳孔が小さいと水晶体の「おいしい」ところだけを光が通りますので、鮮明な像を見ることが出来ます。ところが、瞳孔が大きい状態では水晶体周辺部を光が通るため、収差や屈折率の影響を受け、乱視様の見え方が起こっても不思議ではありません。もちろん、白内障が進んでくると小さい瞳孔でも症状は出ます。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2012-11-24 09:42
| 視力・斜視
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