眼球打撲時の対処について |
Q 草野球チームの世話係をしています。実際にあった例ですが、ファールチップ(軟式球)が打者自身の眼にあたり、白目の一部分が部分的にめくれたように破れ、明るさはわかるが当たった方の眼が見えないという事故がおこりました。 その時の対応は、 1.ファールチップが眼に当たり、本人は眼を押させてその場にうずくまり、痛がっている。 2.試合を中止し、救急車をお願いする。 3.怪我人をその場に仰向けに寝させる。 4.眼を観察すると、白目の部分が破れていた。明るさはわかるが眼が見えないとのこと。 5.叩くと冷たくなる保冷剤をタオルで巻き、そっとまぶたの上から眼にあてて冷やす。 6.5分後ぐらいで救急車が到着したので救急隊員に引き渡す。 7.その日は土曜日で、救急車は受け入れ病院を探すのに30分ほどかかる。その間、怪我人は救急車の中で仰向けでただ横たわった状態。 8.搬送先病院で、眼の下の卵のからのような薄い骨が骨折していると診断される。手術するかどうか、眼の出血が引くのを待ち、月曜日に再診察を受け、手術はしないことに決定。 9.7ヵ月後に復帰。光の明るさを調節する機能が弱くなり、明るいところにいくとまぶしくて頭痛がしてくるとのこと。現在はサングラスをかけて草野球をしています。 ◆質問1 眼を氷で冷やしてもいいかどうかを教えて下さい。眼にボールが当たった場合に、すぐ病院にいきなさいということまではわかるのですが、病院にいくまでの間は、どうしておくのがベストなのかがよくわかりません。私としては、闇雲に氷でがんがん冷やすのはNGだけど、凍傷にならないように配慮をして、眼を圧迫しないように気をつけて冷やすのなら、何もせずにいるよりも、氷(アイスパック)を使って眼を冷やした方がよりいいはずだ!冷やすことで腫れや出血を抑えらていいはずだ!と思っているのですが、本当のところはいかがなものでしょうか? ◆質問2 怪我人の姿勢について教えて下さい。眼の事故の時は、怪我人を地面にべたっと仰向けに寝かせて救急車を待ちました。その時に完全に寝かせるのと、まくら代わりになるものを使って頭を少し高くするのと、どちらがよりいいのでしょうか。前房出血を防ぐために頭を少し(上体の角度は30度~60度くらいで?)高くした姿勢にした方がいいのではないかと思うのですが、河野先生はどちらがいいと思われますか?又、怪我人をその場から動かさずに、ホームベース上で横にならせて救急車を待ちましたが、そうせずに、ベンチまで(約10mくらい)歩いて移動させても差し支えないでしょうか? ◆質問3 他に何か注意することはありますか?対応の中で、これをやった方がいいよ、とかこれはやめた方がいいよ、とか他にありましたら教えて下さい。 ◆質問4 土曜日の午後も診療されておられるとのことですが、例えば上記の例のような、ボールが眼にあたった等の救急患者の受け入れは可能でしょうか? A 1.ボールが当たってどうなったのかは、診察してみないとわかりません。前房出血が起こっているかもしれませんし、水晶体が脱臼しているかもしれません。網膜はく離や硝子体出血が起こっているかもしれません。吹き抜け骨折で筋肉が挟み込まれているかもしれませんし、視神経管骨折で視神経が切断されているかもしれません。はっきりしているのは「痛い」ということだけです。それを和らげるため、あるいは「痛みを誤魔化す」ために冷やすのは良い事だと思います。注意すべき点は、氷を直接当てたりして冷やしすぎない事、圧迫しない事、不潔にならない事ぐらいでしょうか。腫れや出血を抑える効果も少しは期待できるでしょう。 2.頭蓋内出血が起こっているかもしれませんので、当然頭は高くすべきでしょう。こちらの方が重要です。自分で歩けるなら少々の移動は構いませんが状況次第です。 3.「まだ何も判らない」と認識する。頭を高くして寝かせて冷やす。絶対に放置せず、意識があるかどうか継続して確認する。救急隊にどんな状況だったか説明できるように準備する。もし患部に土が入っているなら、水道水、お茶、飲料水などで流すこと。 4.受診されても、重症の場合は結局大きな病院を紹介する事になります。まず消防署に聞いてください。 ★ご質問は河野眼科ホームページから |
by kounoganka
| 2010-07-15 08:42
| 外傷
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